社名への思い

『Factory・工房』と聞くと、それほど大きくなく、家内制手工業的なイメ-ジを思い浮かべることと思います。

社名、Asari Architectural Factory・浅利建築設計工房『工房・Factory』と名ずけたのは、画一的な建築(デザイン)を大量生産するのではなく、クライアントの思いを1つ1つ丁寧に形にする、設計事務所でありつづけたいとの思いを込めて名ずけました。

 色々な意味で成熟した現在の日本において、建築に求められるニーズも多様化してきています。その中で、多彩な視点から様々なニーズをくみ取り、十分な検討に基ずいて吟味しクライアントの豊かなアイデンティティ-(個性)を大切にし、ライフスタイル(企業イメ-ジ)に沿ったデザインを提案していきたいと思っています。

建築コラム-1

デザインの基本的な事柄について、触れてみましょう。
まず、デザインとは「物を構成して、物と人との良い関係を創り出すこと」と、言えそうです。二、三回家を建て替えたことのある人の中には、水を向けて少しあおりますと、「わたしゃ、こと建築の設計についちゃ、ちょっとうるさい方でねエ・・・」と出てくる人もいます。素人のうるさいは、よく知っていることを、鼻にかけての言葉でしょうが、では、何を知っているのかとよくよく聞いてみますと、少しばかりの材料や造り方を、見覚えた程度の人が殆どの様です。このことは先ほどのデザイン(設計)の定義からして、らち外のことを言っていることになります。「物を知ること」と「物と人との関係を知ること」とは全く別のことなのです。ちょっと唐突ですが、ここに安楽椅子があると思ってください。これは座が低く、背もたれもゆっくりと傾いて、座り心地も良さそうです。では、この座面を少しずつ高くして、座の奥行を狭めながら、背を垂直に近ずけていくと、徐々に作業性が増して果ては、事務椅子になってしまうでしょう。これによって、作業性が加われば加わる程に、居住性が減退してゆくことに気が付きます。ちょっと難しい言葉で、「居住性と作業性とは、相関において、共に関数の系が成立する」と言う事が出来ます。この様に、物や空間は、居住性と作業生とを同時に持ち合わせているものですが、これを有効に機能させるためには、他との関係が、重大な要素となってきます。このことは、安楽椅子で一般の食卓に向かったとしたら、無理な姿勢を余儀なくされて、著しく居住性が損なわれることも明瞭ですね。従来の進歩の概念は、機能性・生産性・経済性に代表されていました。現代文明は、生活の質(居住性)を高める事よりも、能率(作業性)の向上に、かなり力を入れてきた様です。これは、進歩の度合いが、数量的に表し易いことも手伝って、次々と、我々の期待がエスカレ-トしたことも、いなめない事実でしょう。これをエレベ-タ-の速度に例えるならば、昨今毎分300、400、500、メートルと進んで、東京スカイツリ-では600メートル、世界最速台北101では1010メートルのものが取り付けられています。ですが・・・これでもエレベ-タ-乗り場には、待ち遠しさのあまり、足踏みしながらイライラしている人を見かけます。もうこれでは、漫画の情景としか言い様がないのですが、でも、これを他人事として笑って済ます訳にはいきません。
では・・・その壁面いっぱいに、鏡を取り付けては如何でしょうか。この時「待つ」という時間は、自分の姿を「見る」という時間にすり替わります。この様な作用を「ファクタ-の転換」などと言っていますが、これこそまさしく現代に要求されたデザインであり、言い換えれば、現代人が求めている物と人との良い関係なのです。

建築コラム-2

日本家屋の座敷には、次の間という前室があり、そのまた前室ともいうべき、踏み込みの間がしつらえてあります。初めて、このような処へ案内された欧米の人達の多くが、「この部屋は何をするところか?」と尋ねるそうです。踏み込みの間は、スリッパを脱ぐ場所などと、半分誤魔化しもつきますが、次の間のそれは、端的に説明する言葉が見当たりません。我われは、履物に下駄を用いた文化を持ちます。足元の悪い日などは、地面から台を遠ざけるために歯を長くした、いわゆる雨下駄を履くわけですが、ここが欧米と異なるところで、彼らは、靴をゴムで覆って水を遮っているのです。この事を一言で、物質で「遮る」か、空間を設けて「遠ざける」かの違いといえましょう。「忌む」という言葉は、憎しむ・嫌うという感情と、避けるという行為とを同時に表して、我が国特有のものだそうです。雨や暑さには、防水材料や断熱材料を貼り付けて防ぐのではなく、高い屋根に、瓦を並べて順次下に水を流し、軒もまた、深く張り出して対処しています。一方、床を持ち上げて、外側に縁側や入側を設けたのも、照り返しをやわらげ、湿気を防ぐものだったのでしょう。このように、初めに挙げた次の間や踏込の間は、音や視線を避けることはもとより、更には、気配や気配りの為の装置として、重要な役目をもったものと言えそうです。この種のものを説明するとき、概して「無用の用」などと禅問答のようなことを言っていますが、もっと科学的になすべきでしょう。現在では、このような仕組みを専門家の間で「スペ-スウォ-ルシステム」と呼び、設計手法の一つとして、幅広く応用されています。また、ホテルのロビ-に付随したトイレの入り口などに、扉を用いず、折れ曲がって入るようになっているものがありますが、これを「トラップシステム」と呼びます。フランスの放送局では、スタジオの入り口を、曲がりを重ねたこの方式にして、吸音材が貼られているそうですが、廊下には、全くこのスタジオの音が、漏れ聞こえないということです。今一度、例を下駄に戻しましょう。靴は、爪先・中底・踵とそれぞれ呼びますが、これは、単にその場所を指すに過ぎません。しかし、下駄はご存じのように、台・歯・鼻緒の三つの部分から構成されています。丁度、日本家屋のように各自の役目を分担し、目的機能を果たしていると言えます。このことに今一歩立ち入ってお話ししましょう。レンガ造りは、一枚一枚のレンガを積み重ねるたびに、耐力を得ながら仕上がってゆきます。しかし、日本家屋は、柱が立ち、梁が渡され、屋根の小屋が組まれ、更には、壁が塗りあがって、初めて地震にも耐え得る構造になるのです。また、障子などの格子は、日本美の代表のように言われ、日本を印象づけるポスタ-の家並みの写真には、必ずといってよいほどに、この格子を写し出しています。でもこれは、美装の為にだけにあるものではなく、主な目的は、建具の強さを保ち、紙を張る骨格として(格子戸の場合は目隠しとして)果ては手掛けの役目までもたせています。欧米の美しい扉は、美しいものを(言いかればライオンや唐草様の彫刻を)取り付けた扉なのです。くりかえせば、美しいかどうかは、美しいものが取り付けてあるかどうかということでしょう。このことは概念的に、機能の「加算システム」と呼べそうです。

会社概要

社名 株式会社 浅利建築設計工房
代表取締役 浅利 賢太郎
所在地 〒300-3257
茨城県つくば市筑穂3-8-3
TEL
FAX
029-877-0122
029-877-0126
設立年月日 1996年4月
法人化年月日 2009年12月
事業内容 建築設計及び監理
インテリアの企画
リフォ-ム
特殊建築物の定期報告・生産設計
登録 一級建築士事務所登録 茨城県知事登録
一級建築士 建設大臣登録
一級建築施工管理技士
社団法人 日本建築士会連合会会員

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